天神祭。
降っていた雨も夕方には止み、辺りが暗くなる頃には湿ったアスファルトと屋台の匂いが混ざり合った妙に懐かしい空気になっていた。適当に仕事を終わらせて来たのはいいが、特に何かをしたい訳でもない。だから、ただ歩く。
周囲は普段の何倍もうるさい。それが不思議と苦にもならない…が、別に楽しい気分になれる訳でもない。なんとなく混んでた道を少し外れ、その横道を歩く。道を少し外れただけで途端に周囲は暗い。自分から遠ざかったのだから当然だけれども、それでも光の下を笑いながら歩く人を見ると、形容し難い、世界から取り残されたような感情が胸を締め付けてくる。下を向いて「アホらし」…と、自分にだけ聞こえる声で小さく呟くと、周囲のざわめきを押し退けて、腹に響く音が真上から聞こえてきた。夜空に咲く、花。
泣きたくなった。
光の下に戻り、あんまり繁盛していない屋台でりんご飴を買った。最初はどうせ食べきれないから小さいのを買おうとしてたが、やめた。大きいのを買ってみた。多分食べきれないけれど、きっとそれは大した問題じゃない。少しだけ花火を見つめ、上を向いて「アホらし」ともう一度呟き、来た道を引き返した。後ろからさっきより派手な音がしても、周囲がその音でざわついても、意地でも振り返らなかった。
だったらいいなーと思うんですが、実際は会社の机で暑中見舞いの宛名書いてました。