それは写真に撮ることすら躊躇うほどの。
農地に行けば案山子、またはそれに類するものを見かけることができる。田んぼや畑などに設置し、鳥などの害獣を追い払うための仕掛け。古くから行われてきた、動物の本能を利用した仕組み。
実家から野菜を持って帰るため、母上に家庭菜園へ連れて行ってもらった。食べごろの野菜を教えて頂かねばならない。少し歩くと見慣れた光景。色々な人の田畑で埋め尽くされた地帯だ。遥か遠くまで見渡せる緑。都会では絶対に見ることのできないものだ。だがその光景の中に凄まじい違和感。自分の目を疑うものが存在した。
人間の首。
…いや違う。よく見れば、メイクや美容室で使われる練習用のマネキンだ。首から上だけしかないあのマネキン。それが背の高い木にぶら下げられてる。しかも2つ。どこの世紀末都市だ。めちゃくちゃ異様じゃないか。
「ナンデスカ、アレ?」
『あれなー。ノムラさんが作ったんよー。凄いやろ。』
「スゴいっつーか、むしろムゴいような…。」
目に見えない瘴気が漂ってる気がする。非常に怖い。異様な空気を放ち続けるノムラさん案山子ゾーンを通り抜け、足早に目的地へと向かう。本当に鳥も逃げそうな雰囲気。凄いものを見た。そんな異常空間を過ぎ去ること数分、自分ちの菜園に『何か』が見えた。
「…ひょっとして、アレも?」
『…ノムラさんが作ったんよー。』
「コッチは身体まで付いてる…。効果はあるの?」
『小さい子供が、本気で泣き叫んでたな。』
対人間用じゃねぇか。