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手に入れる為に捨てるんだ 揺らした天秤が掲げた方を。

大人になってからというもの、雨で全身がズブ濡れになったという記憶が無い。いや、あることはあるんだけど、それは天気に抗って濡れた結果というか、昔はもっと意味もなく頻繁に全身グチョグチョになってたと思う。今考えると、昔は濡れても平気な生活をしていたからなんだろう。服が濡れても洗濯は親がしてくれたし、ケータイも持ってなかったから壊れたりもしない。革製品なんて身につけていなかったから、シミの心配など皆無だし、何より少しばかり財布の中身に余裕ができた。500円出せばコンビニで良さげなビニール傘が買えてしまう。昔は500円出して傘を買うより、濡れて帰る方を選んでいた。

傘を買える今の生活に不便は無い。というより昔のような生活にはきっと戻れない。休日にお祭りへ行ったとき、子供数人が川に入って思いっきり水の掛け合いをしていたんだけど、今ああいう事をしろと言われても躊躇いの方が先に来る。なんだかいつの間にか小さい人間になってしまったものだ。自分の事ながら寂しくなる。

そんな事を急に降り出した雷雨を見ながら考えていた。場所は駅の出入口。会社出たときは晴れていたんだけどなー。最寄のコンビニは200m先。さて午後の打ち合わせに完璧に遅れそうなんだけど言い訳をどうしよう。濡れる気は皆無。